【再生ゴム=『安かろう・悪かろう』の時代】
日本では昭和の初期から再生ゴムの工業化が進められて、使用されるようになってきました。第二次大戦が始まると共に天然ゴムは物資の統制品となり、また海外からの輸入も困難になったことで、国内での不足も深刻な状況下に置かれました。
このことにより天然ゴムは非常に高価なものとなり、それを補うものとして再生ゴムの需要が急増したのです。よってこの頃の再生ゴムは、物資不足と製品単価を抑える単なる代替品として使用されていました。
しかし当時は、材料であるくずゴム自身の品質が良くなかったこと、急激に無理な増産をしたことなどのため粗悪品になってしまいました。そのために『安かろう、悪かろう』というイメージが持たれるようになったのです。
一方、合成ゴムにおいては昭和30年代に日本でもタイヤ、チューブを生産するようになってそのくずゴムが大量に発生するようになり、再生ゴムの製造も活発になってきました。
しかし当初は、合成ゴム(主にSBR)の再生は天然ゴムのようにうまく出来なかったようです。
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【 もはや『安かろう・悪かろう』とは言えない】
現在においては物不足の時代ではなく、また製造技術も格段に進歩したことにより、再生ゴムは良質となりました。もはや再生ゴム=『安かろう・悪かろう』ではなく、すぐれた配合剤として見直されると共に、天然ゴムの価格が下落した現在でもその特性が高く評価され、幅広い用途に使用されています。
一方、合成ゴムについてもSBRをはじめEPDM、CR、NBR、その他についても再生ゴム製造が進められてきたことで、良質な再生ゴムが製造されています。
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【リサイクルとしての位置付け】
近年、産業廃棄物の処理問題が大きく取り上げられ、リサイクルの声が高くなってきています。なかでも家電、ペットボトルのリサイクルなどが非常に注目されていますが、ゴムのリサイクルについてはあまり反応がないように思われます。
これはゴムのリサイクル品である再生ゴムが、古くから存在していたことが逆に目新しさに欠けているだけであって、実はリサイクルの先駆者的な存在であるのです。
合成ゴムはプラスチックと同様石油製品であり、廃棄すれば環境に悪影響を及ぼします。 また、天然ゴムは土に返るという事で環境にやさしいゴムではありますが、だからといって安易に廃棄することは決して好ましいことではありません。
将来を見据え、リサイクルを真剣に考えなけばならない今こそ、再生ゴムの特性を理解し最大限に利用していくべき時なのです。
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